2012年04月30日

色は匂えど!~アーティスト

今年度のアカデミー賞で最多の5部門を受賞。
しかも、それがモノクロでサイレントの作品だという。
今どきモノクロでサイレント・・・!
一体どんなの?と、興味深々で大津アレックスシネマへ…

色は匂えど!~アーティスト


映画がサイレントからトーキーへと移っていく1930年代を目前にしたハリウッド。
サイレントに固執し、時代について行けず、落ちぶれていく大スターの男…
逆に、彼に見出され、トーキーをチャンスと見て新しい時代の波に乗り、スターダムを駆け上っていく女優の卵…
そのふたりの栄光と挫折が交錯する、シンプルながらもチョッと切なく心あたたまるラブ・ストーリーです。
急速にアナログからデジタルに変わりつつある現在と、どこかオーバーラップします。

スタンダードサイズの画面にモノクロの映像がとても新鮮です。
古いイメージなどみじんもなくて、むしろ最先端の新しささえうかがえるほどです。
3Dなド派手な画面がもてはやされる昨今、かえってヒューマンなあたたかい手触りが感じられます。
チャップリンの作品に感じる、あのフワっとしたやわらかさがあらためて呼び起こされるようでした。

サイレントといってもセリフがないだけで、その代わり音楽が怒涛のように押し寄せてきます。
あふれんばかりの音楽が、登場人物の感情の揺れ動きや彼らの織りなす物語に色彩を与え、奥行きを深めます。
アカデミー「作曲賞」を受賞した所以だと思いました。

色は匂えど!~アーティスト


むかしのサイレント映画へのオマージュがそこかしこにちりばめられていて、思わずニヤッとさせられます。
また、言葉ではなく表情やしぐさだけですべてが表現されるってことに、こんなにも想像力を掻きたてられるのだと気づかされます。
久しぶりに、映画の世界にどっぷり入り込んでしまいました。

全体にただよう洒落た小粋な感じがとてもいいなと思ってたら、ハリウッドを舞台にしてはいるけれど、案の定、スタッフもキャストもすべてフランス人の、つまりはフランス映画ということで、やっぱりね…と納得させられました。

色は匂えど!~アーティスト


そうそう、忘れてはならないのが主人公の愛犬ワンちゃんの名演技。
なんと、カンヌ映画祭では“パルムドール”ならぬ“パルムドッグ”を受賞したそうな…
その演技力には、さすがのメリル・ストリーブも脱帽?!



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